冷え性は血行や熱生産など体内中の活動によるものだけではなく体表面の体温調整が大きな関わりをもっています。人間の体は、脳内にある自律神経の指令によって体温調節されます。つまり、視床の前下方に続き間脳の底部を形成する部分、視床下部にある自律神経が乱れると冷え性になりやすくなるのです。
しかし、自律神経が体温調節を指令するには、皮膚からの伝達が必要になります。皮膚の中にある温度を感じる神経から”さむい”、あるいは”冷える”という報告を受けて初めて体温上昇の指令を出すのです。ところが、近頃は冷暖房完備の場所が増え、温度差の激しい空間を出入りする事が定着したため、この気温や室温を感じる皮膚の神経が鈍くなってしまっていると言われています。
おまけに年中冷たい物の飲食をするため、皮膚の温度感知を補う内臓内の温度調節機能もすっかり鈍感になってしまい、脳に訴えを起こすタイミングが大幅にずれてしまっているのです。
したがって、体が冷え切ってからやっと脳に伝達が行き、すぐさま体温上昇を要求するのですが、受けた自律神経の方も体調不良により即対応するのが困難な状態にあると、体は益々冷えを蓄積します。こうした悪循環を防ぐためにも、今一度日常生活を見直す事が必要になります。