西洋医学では、冷え性は、とくに病気としてみられることはなく、病院に行って診察を受けても、「冷え性です」と診断する医師はまずいないと思います。そのため、冷え性に対する効果的な薬がなく、更年期障害や自律神経失調症と診断されることが多いのですが、精密検査をしても、原因もわからないし、内臓や消化器系のどこも悪くないと言われることも多いようです。
しかし、冷え性を根本的に治すなら、体質改善が必要不可欠です。西洋医学では、病気を診断して病気を治しますが、体質を治すという治療法は確立されていません。そこで、漢方による医学に、高い関心が寄せられています。
漢方は、昔から身体の冷えは、血のめぐりが悪いことが原因で、「万病一元血の汚れ」であるとされてきました。漢方は、中国の医学で古い歴史があります。漢方と言えば、すぐに思いつくのが漢方薬です。冷えの改善に漢方薬を処方する治療法ももちろんありますが、中国では、ふだんの食生活から病を予防して、病を治すという「医食同源」という考え方が根本となっています。食をもって、病を治すと言っても過言ではありません。これを「食養」と言います。毎日の食生活の習慣から見直して、体をあたためる食事に代えて、冷え性を少しずつ改善するという考えのもとに、指導が行われます。
漢方では、「血(けつ)」は、健康を左右する重要な要素です。血は、全身に栄養を送り届ける以外に、体のしんまで温める働きがあります。冷え性には、いくつかのタイプがありますが、血と気のパワーが不足すると、血液循環が悪くなり、冷え性にかかりやすくなります。頭痛・腰痛・肩こり・生理不順・自律神経・女性ホルモンなど、冷え性と深い関係があります。