東洋医学では、食べ物は3つに分類されると考えられています。
さきほど、陰の食材と陽の食材のことを書きましたが、その中間として陰と陽のどちらでもない中庸 (または平) の食材が存在しています。
陽の食材は、体を温めて、陰は体を冷やす、もしくは体の熱をとると考えます。冷え性の人は、陽の食べ物をたくさん摂ることが必要ですが、体に熱がこもりやすい人は、体熱をとって体を冷やす必要があります。そういう人には、陰の食べ物を摂ることが必要になります。その人の体質ごとに、必要とされる食材の質も違ってきます。
陰の食材と陽の食材を栄養素で比較して、どちらがいいか悪いかということではなく、環境に合わせて、双方ともバランスよく摂ることが大切になります。
陰の食材で代表的な野菜をひとつあげるとするなら、「なす」です。昔から「秋なすは嫁に食わすな」ということわざが言い伝えられてきました。1年の中で、秋はなすとさんまがおいしい季節です。嫁のことを憎たらしいと思う姑が、「憎い嫁には秋なすも食べさせたくない」と思っているのでしょうか。答えは「NO」です。なすは陰の食材です。秋になって涼しくなった頃に嫁に食べさせると、体が冷えてしまい、出産にもさしつかえることを心配して言われた言葉とされています。なすの種類には、京野菜で「水なす」と呼ばれるなすの種類があります。通常のなすよりも水分が含まれていて、浅漬けなどによく使われています。
中庸 (平) の食材には、体を冷やすこともなく熱をこもらせることもない食材として、玄米があります。陰・陽・中庸、いずれの食材も、バランスよく摂ることが大切です。